とげ抜き

むかしだれかがいってた

『心はね、産まれた時はまん丸なんだよ
産まれて生きて
いろんなモノに触れて
心はカタチを変えていくんだよ』



むかしだれかがいってた

『人はみんな、鞄を抱えて生きてる
大きさや色形は人それぞれ
穴が空く時だってある
いっぱいになっちまう時もある
捨てなきゃならない時に
落としたモノを拾う時に
何を捨てるべきか
間違わずに生きるのが
一番難しい』



むかしだれかがいってた

『私は今、走る時だ
自分という存在を
試す時だ
振り返る間も、立ち止まる間も
必要ない
道など要らない
だって地平線しか見えないじゃないか』



むかしだれかがいってた

『夢は一人見るものじゃない』




むかしだれかがいってた

『無理無駄無謀、上等
ニヤリと笑って立ち向かってやる
開き直り？
ダメで元々？
とんでもない！
そーゆー諦めるってやつが出来なくてね
逆境ってやつを覆してやるのが
大好きでね』



むかしだれかがいってた
いってた

『お前はまた何者にでもなれると思っているのか
お前はまだ何者でもないが
何者にもなれない』




ことばがわたしをしばる

このとげを
ぬいてくれ