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記憶の町

2013年04月20日 00:49

私の住んでいる町は下町
少し前まで瓦の屋根の木造の長屋
並んでいる狭っ苦しい町だった。

小学生の頃はその狭い町が全てで
コンクリートの合間から生える雑草も
いつも文化住宅の窓からおーい
と叫んでいる白痴おばさん
茶色く黄ばんだ木の塀の家も
それがこれからもそこにあり続け
るのだと私は思っていた。
子供の一日は大人が感じる以上に
長い。10歳の24時間と20歳の24時間は
生きてる時間の分だけ占める割合は
小さくなる。だから長い。

10台後半をすぎると
もうガキの頃に遊んだ町など
窮屈になってくる。
繁華街オフィス街のほうが
魅力的かつ利便がいい。
そんなわけで地元を歩くことなど
休日はおろか正月でさえも
忘れてしまうのである。

だが、ふとした瞬間に
歩いてみると、記憶の中にある町が
もうない、ことにきがつく。

雑草が生えていたコンクリート
地面の上にマンションが立っていたり、
おーいおばさんが住んでいた文化住宅
駐車場になっていたり、
黄ばんだ木の塀の家が真新しい老人ホーム
作り変えられていたりする。

長屋が並んでいた薄暗い路地
長屋がぶち壊されて、明るい広い道になり
即席で作った縦長の家が理路整然と並ぶ。

明るかった
私が知っていた薄暗いあの町は
明るく日の光が差し込む町になった。
建物も木造でなく、白いタイルやセメント
で光を反射しより明るさに貢献している。

家と家の間に青空が見える。
あの頃、こんな広い空は見えなかった。
記憶の中の町は記憶になり始めている。
あと十年、二十年後、記憶の町は
本当に記憶となるだろう。

色も形も実はもう曖昧だ。

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