- 名前
- 厚木氏129
- 性別
- ♂
- 年齢
- 47歳
- 住所
- 福岡
- 自己紹介
- メールありがとうございます。 **ログはまだ書かれていません →即消去 足あとなし ...
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マヨヒガ
2012年01月28日 06:35
※長いから読まなくてもいいです。
下ネタも無いと思います。
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10年以上前の話。
ポスティングのバイトをしていた。
簡単に言うとチラシ配布。
おれがやったのは選挙のビラ配りだった。
配達地区は日毎に割り振られ、ひとつの地域にだいたい2~7人くらい。
現地に車で向かい、ポスティングをしてだいたい3~5時間後に合流して帰社。
話が逸れるが、この仕事、ビラ配り自体に問題はない。
が、もし当選した場合、次の選挙でもビラ配りの仕事が与えられる。
そのため、会社からは20歳以上のスタッフは全員選挙に行くように言われている。
誰に投票しろ、ということは言わない。
言うまでもない。
これって票を買ってるようなものなのかな、とおれは思った。
金がある候補者はそれだけ有利じゃないか。
当時は10代だったので状況をさっぱり飲み込めていなかったのだ。
仕事に対するモチベーションはあまり高くなかった。
さて本題。
どんな人口の多い県でも、○○村というような僻地は存在する。
失礼。
そんな山奥にもポスティングに行くわけだが、団地やマンションと違って数がさばけない。
2時間かけて50枚も配れないことがある。同じ枚数ならマンションのポストに入れればほんの数分なのに。
往復の時間もかかるし、いいことがない。
その日は3月下旬だったと思う。
たまにまだ寒い日がある時期。その日も寒かった。
手元の地図を見ると、道はないが家はある。
私道がつながっているのだと思い、おれは一人で地図にない道を歩いていた。
そろそろ戻りたいが、道はよくわからない。
集合時間に遅れてもさすがに置いていかれることはないが、他の人に迷惑なのは事実。
木々のむこうに家が見える。
そこに配ったら帰ろう、と思い奥に進む。
なかなか辿り着かない。
気付くと20分ほどたっている。
これだから田舎は嫌なんだよな、と、あきらめて戻ることにした。
すると不思議なことに帰り道がなくなっている。
舗装された道を歩いていたはずなのに、草むらにおれは立っていた。
ボーっとして意識なく進んでいたのかと思い、改めて周りを見ると、さっきの家が近い。
ふと違和感を覚える。
草むらにススキが生えている。3月なのに。
落ちかけた太陽もオレンジ色に輝いてまるで秋の夕暮れ。
日没の予感。
家に人がいたら電話を借りようと思った。
会社に連絡して、合流地点で待っているバイト仲間に、おれが道に迷っていること、戻るのに時間がかかりそうだということを伝えてもらうつもりだ。
最悪自費になるがタクシーで帰ることも覚悟した。
こんにちは~。
声をかけたが返事はない。
人の気配はする。
生活感があるのだ。
灰皿や蚊取り線香。
玄関には脱いだばかりのようなサンダル。
少し待つことにして、勝手に縁側に座った。
建物は古びて見えるが、障子に穴は開いてないし、明らかに人が住んでいる。
だがいつまで待っても誰も来ない。
畳の部屋が見える。
そこにはなぜか皿や器が並んでいる。
雨漏り対策にも見えない。
無用心だな、と思う。
部屋の外には古新聞がまとめられている。
見ると本当に古い新聞のようで、印刷された文字が読みにくい。
なんでこんなに読みにくいのか思ったら、どうやら書かれてる漢字は左から右に読むようだ。
数字は判別できないが年号は昭和と書いてある。
古すぎる。
新聞に紛れて一冊だけいかがわしいものを発見。
風俗誌のようだ。
ホテルに女性を呼んでエッチなサービスをする店が紹介されている冊子だ。
これは普通に読める。
だがこんな田舎に来る出張風俗店なんてあるのか?
古新聞に紛れているということは、おそらく持ち主はゴミとして処分するんだと勝手に思い、ちょっと興味もあったので貰ってしまうことにした。
※窃盗の時効は7年 せふせふ。
急に後ろめたくなって、家を離れることにした。
冊子は鞄に入れて、あてもなく道を戻ると、舗装された道に出た。
車のクラクションが鳴り、びっくりしてそっちを見ると、集合場所で車が待っていた。
あれ???
なんで???
振り返ると、出発した時に通った道。
だが、今通った道ではない気がする。
時間をみると、ちょうど集合時間。太陽はまだ落ちていない。
不思議な体験だった。
自分でもよくわからなくて誰にも話せなかった。
その後、月に一度のペースでその地域にポスティングに行ったが、あの家の場所はとうとうわからなかった。
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迷い家(まよいが、マヨイガ、マヨヒガ)とは、東北、関東地方に伝わる奇談。
柳田國男が『遠野物語』で紹介したことにより広く知られるところとなった。
概略としては、山奥深くに迷い込んだ者が偶然立派な門を持った屋敷にたどり着く。
屋敷の庭には紅白の花が咲き乱れ、沢山のニワトリ、牛馬がおり、座敷には綺麗な食器が多数並べ出されており、火鉢の火はついたままで、囲炉裏には沸いたばかりのお湯がかけてある。
しかし、人は誰ひとりおらず、呼びかけても応える者はない。
迷い人は暫し休息を取った後、什器をいくつか携えて屋敷を後にした。
そしてようやく山を抜けることが出来たが、再びかの迷い家を訪ねようとしても決してたどり着くことは出来なかった。
持ち帰った什器で米を計ると、いつまでたっても尽きることはなく、迷い人の家は里に戻ってから大層繁栄し、一躍大金持ちとなったという。
迷い家に逢うと不幸が訪れるという全く逆のバリエーションも派生して出来ており、怪談の一つとして語られることもある。
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マヨヒガのエピソードに酷似している。
迷い家(マヨイガ)は、この世に有らざる処に建っている家のこと。
こうした家に入り込んで、気づかれない間に茶碗といった食器や鉢などの調理道具を持ち帰ると、家が富むという。
おれが持ちだしたのは出張風俗店の冊子なんですけど。
持ち出すものを間違えてる。。。。
出張風俗を利用するような機会がなかったのでそれきりだが、もし利用してたら、この世に有らざるサービスがあったのかもしれない。
・・・って どんなのだよw
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このウラログへのコメント
早起きなの夜更かしなの
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