さよなら

「ねぇ…」
「小さい女は嫌い？」



可愛いね…

僕は
そう言った…

正確に言えば
そうとしか
言えなかった…

嫌いでもなければ
好きでもなかったから…



僕は
何でもない事に
こだわったりする…

それって
精神が
幼いだけかもしれない…



私は
ごろうさんに
恋をしたのよ…（笑）

そう
あの頃の
ごろうさんは
もう
ここには居ない…







昨日は
保険屋さんと
ランチを食べて
別れた後

一度
洗濯物を
取り込みに
アパートに
戻った…

結局
アパートに
一人で居るのが
嫌になって…

また
直ぐに
外出をした…

向かう場所は
何時も
決まっている…

アパートの近くの
バッティングセンター

毎日
麻雀格闘倶楽部や
古いパチスロ台で
遊んでいる…

でも
昨日は
バッティングセンターを
素通りして
その先にある
昔、通っていた
パチンコ屋に行った…

まとまった現金が
手元に入った事もあり
少し舞い上がっていた…

実に
４年ぶりの
パチンコ屋だ…

昔は毎日
通っていた…

そして
勝ち続ける事が
自分の生き甲斐にも
なっていた…

妻の妊娠を知り
パチンコ屋から
僕は足を洗ったのだ…



店を見回して
自分でも分かる
古いパチスロ台が
数台あった…

「青ドン」

確か
レギュラーボーナス後は
天井の回転数が
低かった記憶がある…

２千円で
リーチ目が入った…

でも
レギュラーボーナス
だったので
直ぐにやめた…

その後
最近の台を
転々とし…

トータルで
１万８千円
使ったところで

ジャグラーの優秀台が
空いたので
その台に移った…

３千円で
「ペカッ！」

ビックボーナスが
揃った！！

あっという間に
４連チャン♪

よし！…いける…

多分
そこが
引き際だった…

直ぐに
レギュラーボーナス

ハマって
レギュラーボーナス

また
ハマって
全て呑まれて
おしまい…

昔の自分なら
少しでも勝ちと
思えばヤメテいた…

でも
今は
他に知っている台が
無いのだ…

その後
新台をやったが
仕組みがイマイチ
分からない…（笑）

３万３千円の負けで
終わった…



冷静になってみると…

ほとんど
箱を積んでいる人が
いない…

僕の知っていた
昔のパチスロと
全く違う…

お金を使っても
回収出来る気がしない…

勉強になったと思い
何時もの
バッティングセンターに
戻った…



あっという間に
バッティングセンターも
閉店時間…

何か物寂しい感じで…

一瞬
ためらったが…

バッティングセンターの
隣に在る
フィリピンパブの
ドアを開けた…



夜の店に来るなんて
実に１０年以上ぶりだ…

妻と出会ってから
飲み屋通いは
すっかり卒業したから…



フィリピン人の
ホステスは皆
スラッとして
スタイルが良い…

専ら
豊満な女性の方が
僕は好みだが…（笑）
（僕はデブ専では無い）



あまりに
僕が
詰まらなそうに
固まった
顔をしていたのだろう…

最初に着いた
女性が色々と
聞いてきた…

今
別居している事など
事細かに説明した…



特に指名は
しなかったので
数１０分毎に
ヘルプの女の子が
次々とチェンジした…



４人目の女性が
妙に積極的に
話しかけてきた…

彼女の話しだと
背の高い男が
タイプだと…

営業トークだと思い
特別
何とも思わなかったが…

「私、小さいの♪」

手の大きさを
比べたり…

僕を立たせて
背くらべをしたり…

片言の日本語で
一生懸命
説明している…

少し
僕の
心が動いた…



カラオケも
何年も唄っていない…

カラオケ好きな
陽気な常連客が
何度も唄っている中

僕が選んだ曲は…

オフコース
「さよなら」

新参者が
雰囲気を
壊してはイケナイと
思ったが…

他に
思い出せる曲が
無かった…



自分の番が
近付くにつれて
心臓が
ドキドキしてきた…

そして
僕の番が来て
ステージに立った…

マイクを持つ手が
震えている…

唄っている声も
震えている…

でも
唄いきった…



最後に
僕のテーブルに着いた
女性が
苦しそうにしていた…

花粉症が酷いらしい…

飲み薬は
飲んで来た様なのだが…

閉店前…

効能が
切れて来たのだろう…
酒を呑めば尚更だ…

僕が普段使っている
飲み薬と点鼻薬を
その女性にあげた…

彼女は
効き目が速いのに
とても驚いていた…



やっぱり
閉店の曲は

つのだひろ☆
「メリージェーン」

だった…（笑）



深夜
２時過ぎ…

アパートで一人
呑みなおした…

ずっと
呑み続けていたのに
酔わなかったので
呑んだ気が
全くしなかったから…

何時もの様に
携帯でデジにインして
コメントの返信などを
していた…

結局
携帯が
今の僕の１番の
恋人かも知れない…
（笑）







無駄に長い文章を
最後まで読んでくれて
ありがとう♪

中年親父が一人
夜
ふらふらしていた
特に何でもない
話しでした…（笑）

みんな
元気かい？