ガラクタの中からの未来

ロックは貧乏人の音楽だ。
ロックやブルースはその根底には常に底辺の叫びが無ければいけない。
ビートルズが作り出したポップロックは、クリムゾンがプログレロックを持って、アビーロードを叩き出したが、
変わりにインテリ好みの難解なロックが幅をきかせた。
不良と呼ばれる若者達はロックの進化を拒み、難解なプログレに唾を吐いた。
糞みたいなクラブのオーナーのマルコムは店にたむろするルックスの良い悪ガキを適当に数人選び、全員素人でバンドを作り出した。
マルコムはウォーホルの様に新しいバンドを作りたかった。
ウォーホルは芸術に傾倒したベルベットアンダーグラウンドを産み出したが、ウォーホルはロックの回帰を掃き溜めのクラブで感じ取り、
パンクバンドを作った。
セックス・ピストルズだ。
多くの若者達は難解な、インテリの若者好みのプログレ流行りに苛ついていた。
ピストルズは難解な真似は一切しなかった。いや、出来る様な技術を持っていなかった。
曲は全て3コード、3分以内の曲ばかり、歌詞で女王を人間でないとコケにし、シナトラを嘲った。
更にはジムモリスンが作り上げたロックスターのスタイルを更に極端に、より過激なパフォーマンスで実践した。
現代のロックスターのあり方を作ってみせたのだ。
若者達は熱狂で持って新しい音楽を迎えた。
ロックは進化を拒み、より極端なロックの初期衝動が選ばれたのだ。
世界はパンクムーブメントの夜明けを迎えたのだ。
バンドはその後シドビシャスを迎え、絶頂期を迎えるが、僅か数年でヘロインのオーバードーズによるシドの死で崩壊する。
しかし彼らはロックの基本をもう一度立ち返らせた英雄なのだ。

俺が思うに極端な話ロックに技術は要らない。
ギターがあり、吐き出す何かがあればいい。
後はロックの神が降りて来れば完成なんだから。