思わず・・・

相変わらず、彼とは進展しない。

　欲求不満が溜まりそうだったので、ちょっとカマをかけてみました。

　仕事帰り。いつもの所で待ち合わせて、帰宅途中のこと。

「ねぇ。あたし達って付き合ってるって言えるのかなぁ？　どう思う？」

　常々疑問に想っていた事。

　いや。今まで付き合っていたのが手が早すぎるのが多かったせいもあるんでしょうが、付き合って１ヶ月ちょい。

　手も繋がないなんてあり得ないでしょ（心の叫び）。

　と言う事で、思いあまって（？）聞いてみました。

「・・・付き合ってるんじゃないかな・・・」

　何その、煮え切らない態度わ！

　思わず・・・

「付き合って１ヶ月も経つのに、手も繋がない恋人同士がどこにいるのよっ」

　と言ってしまいました（－－；；

　だって、じれったいんだもん。

　その言葉に驚いて硬直する彼。

　んー。１ヶ月で破局か？　まぁ、持った方かしら・・・などと頭の隅で考えながら、次の出方を見ていると、

　そりゃ、ニアミス（？）はあったけど、それ以来何もないぞ。

　触れてこようとすらしない。

「欲求不満なのか？」

「はぁ？？？」

　思わず、声を上げちゃいましたよ。

　いや。否定はしませんけど！　けど！　面と向かって言うか？

「純粋なのよ～」

　彼を紹介した友人の言葉が思い出される・・・。

　いや。純粋という寄り、こりゃ天然だろ・・・。

　つーか、手を握るのが欲求不満って・・・。

　世の中欲求不満者だらけになるぞ・・・。

「いや・・・その・・・」

　言葉に詰まる彼。

　そりゃ、彼女が出来るのが初めてなのは分かるが、その思考は飛躍しすぎだと思うぞ。

　困ったようにあらぬ方向に視線を流す。

　最大級のため息が出ましたよ。

　そりゃ、否定しませんけどね。

　彼と付き合ってからは浮気してないので（偉いなぁ・・・）。

　そして、ふと聞いてみる。

「もしかして、誘うの意味理解してないんじゃないの？」

　何度か、誘惑（？）的な事をして見たけれど、空振り。

「うちに寄ってく？」

「いや。もう夜遅いし・・・」

　この会話。毎日のようにしてました。

　そりゃ、親と同居だけどさ。

　鈍感にも程があるでしょぉ。

「単刀直入にホテル行く？　とか言った方が行ったわけ？」

　脱力感を覚えながら言うと、

「え・・・いや・・・その・・・」

　顔に書いてありますがな。

　直球かよ・・・。

　天然過ぎるわ・・・。

　脱力感を覚えた後、少し悪戯心が芽生える。

「じゃぁ、ホテル行く？　帰る途中にあるわよ」

「え”・・・」

　今度は彼が絶句。

　これぐらいの仕返しは許されるよねぇ？

　結局、ホテルは先送り。

　はぁ。彼と結ばれるのは来年かしら・・・。