夜の子供達

昔々、私は夜の住人でした。

夜が来るのが待ち遠しくて、夜のことだけ考えてた。
友人達に囲まれて、たむろして騒いで。

車が行き交う道路沿いが好きで。
夜出会う人達が仲間。
朝が来ると皆、自然とバラバラになったけど
また夕闇が迫ると自然と集まってた。

夜だけ自由だった。
そんなはずはないんだけれどもそう感じた。

あの頃は眠りたくなくて、面白いコトばかり探して
眠くならないようにしてた。
眠るのが勿体無くて。

親には「せめて日付が変わるまでには家に帰って」と言われたけど、
「わかった」って返事だけ。


でも、そのうち、飽きちゃうんだよ。
そうやって遊ぶことが。
危ない目にもいろいろ遭ったし、仲間も彼氏とか出来ちゃうと
そっち優先だしね。

面白かったけど、自然消滅みたいに私達の夜が消えた。
夜は私達のものでは無くなった。


大人になるってそういうことかも。


淋しい気もするけど、でも二度としないだろうな。

今でも車の光るテールランプを見ると思い出す。
危険と隣合わせの光る夜。