- 名前
- ★シンゴ★
- 性別
- ♂
- 年齢
- 44歳
- 住所
- 愛知
- 自己紹介
- 欲求不満なあなた!一緒に発散しませんか? 決して損はさせませんよ。いろんなエロ話や ...
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愛のメモリー
2008年09月06日 20:57
これは過去のお話。
自分が電車に乗っていて目の前で見たことである。
今でも思い出すと目頭が熱くなる。
この光景を目の前で見たら皆さんはどう感じるだろうか?
中途半端な時間ということもあるのだろう、
乗り込んだ電車は意外と空いていた。
空いている座席に着く。すると、
おや?斜め前に座っているカップルの様子が・・・?(ポケモン風に)
小さな声でひそひそ言い合っているのでよく聞こえないが、
どうやら口論している様子。
痴話喧嘩も相手がいてこそ。
思う存分喧嘩して仲直りしたらいいじゃない。
半ば微笑ましい、温かい気持ちでカップルを見守る。
そう、まるでさっきまで人が座っていたイスのような温かさで。
だが、喧嘩は終わらない。
彼女が何か言い、彼がなだめる。
やめろよこんなところで。もっともな意見である。
だが感情的になってしまっている彼女は、
なだめようとする彼の態度がまた気に入らない。
結果、徐々にヒートアップ。
ひそひそながらも確実に大きくなっていく声。
そして、ついに時は来た。
「だからやめろって・・・。ここ電車の中だよ?」
何度目だろう。彼が幾度となく繰り返したなだめの言葉が、
ついに彼女の心の堰を破壊した。
今まで彼を慮って心の奥底に閉ざされていた言葉が溢れ出す。
そうして放たれた真実は、あまりにも悲しいものだった。
「本当はHのときだって全然気持ちよくないんだからね!」
「えっ・・・?」
全米が、泣いた。
もちろん僕も泣いた。むせび泣いた。
近くに立っているサラリーマンも肩を震わせて泣いている。
うん、きっと泣いている。
近くにいた全員が俯いた。
言われた彼は完全に止まっている。
時間よ戻れ!ちょっとだけ戻れ!
きっと彼はそう願ったはずだ。
「ごめん・・・」
しかし悲しいかな。
一度進んだ時計の針は戻らない。
一度放たれた言葉は戻せない。
彼は一言そう謝ると、それきり黙りこんだ。
そっと彼女が手を伸ばし、彼の手を握った。
「ごめんね、言い過ぎた。ごめんね?」
口に出さずとも伝わる想い。
握られた手を見た人すべてが、彼らが仲直りしたのを理解したろう。
あとは今後の彼の奮起を祈るばかりだ。
次の駅でカップルは降りていった。
もちろんふたりの手は固く繋がれたまま。
今日、辛い辛い真実を告げられた彼は、
ひとりよがりでない、今よりも良い彼氏となれるだろう。
今日、彼氏の新しい表情を知った彼女は、
今までより相手を気遣える、優しい彼女となれるだろう。
大丈夫。そうやってふたりはわかりあっていくものだから。
そして電車に揺られながら願う。
ふたりの行く末に幸多からんことを。
僕は涙に濡れたハンカチをそっとポケットに戻し、窓の外を見た。
今日の空は今にも泣き出しそうな色をしていた。
このウラログへのコメント
喉の奥の方がギュッと熱くなりました(TT)
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