思い出ストーリー

結局、その人は教室に顔を出せぬまま中3の春を迎えた。中3の4月の始業式の日、クラス替えは無く久々に会うクラスメイトたちの中に、その人の姿はあった。約1年ぶりに見るその姿は、クラスの誰より美しく映った。「良かった、元気になったんだ！」と喜びと嬉しさが込み上げ、また元気そうな姿を拝見し思わず涙をこぼす寸前であった。しかし、それが恋心により助長された感情であると当時は気付きもしない。
新学期となり、2週間ほど経ちその人は早退することもあったが登校することができていた。そして、ある日に突如として気づく、その人のことを無意識的に目で追っていることを。更にその間、胸が高鳴っていることに。「まさか、まさか！？」と少し慌てたのち、これまで、その人のことを考えていた際の感情や行動などを振り返った際、ようやく気付いたのだ。
「僕、その人にいつの間にか惚れていたんだ」と…