ボクのココロを灼いたハグ

ボクのココロを灼いたハグ

ソレはあの日
同窓会の会場で
ボクの姿を見たお前が
もの凄い勢いで走って来た
　
ボクの脳裏に浮かんだのは
中学のあの日
部活の最中全速力で
走って来たお前の
全力ひざ蹴り

小一時間悶絶した
その痛みが蘇る
　
思わず身構えたボクは
次の瞬間裏切られた
　
苦しくないくらいのハグ
でも全力のハグ
声は怒ってたけど涙ぐんでた
　
お前のために休み取ったんだ
本当に良かった
来た甲斐があった
　
ボクは今まで自分を
空気であれと思っていた
路傍の石であれと思っていた
誰にも気にも留められない
とるに足らない存在なのだと
　
でも想い出したよ
良家のひとりっ子として
蝶よ花よと可愛がられていながら
それでも孤独だったお前
　
貧しいボクは
居場所が自分の家に無くて
お前のところに入り浸っていた
丁度お前は暇つぶしに
ボクを側に置いていてくれてた

そうだね
二人は何も言葉を交わさず
君の部屋で背中合わせ
日が暮れるまで漫画を読んだ
そんな事も多かったね
　
嬉しかった
想っていてくれてたんだ
こんなにも愛されていたんだ

ボクは多分、お前をボクの半身と
お前は多分、ボクをお前の半身と
そう想っていたんだろうね
　
大切なコトに気づくのが遅かった
本当にあっけなかった
それから一年ちょいで
お前は逝ってしまった

悲しくて苦しくて
でも墓の前で確かに誓った
お前の分も生きてやると
お前の分も楽しんでやると
　
あれからもう13年経つけれど
まだ楽しみ足りないのかよ
一向に呼んでくれないのな
　
確かにさ
初恋のあの娘のコトは
本当に済まないと思っている
直接謝るからさ
だから早く呼んでくれよ
そしたら天国でもう一度
ハグをしてくれよな
ひざ蹴りでも別にいいけど