- 名前
- 松田文学男爵
- 性別
- ♂
- 年齢
- 60歳
- 住所
- 東京
- 自己紹介
- 僕はアンドロイドなんだ。 アンドロイドだって夢は見る。 でも、それはキミたちのように...
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綺麗なわたしだけを
2021年08月15日 23:05
同僚のアパートで飲んでたら、
同僚がぽつりぽつりと昔付き合ってた女の話を始めたんだよな
自分にもすごく入れ込んだ女がいたんだって
一緒にいるとこっちまで明るい気持ちになる、天真爛漫な子だったそうだ
でも彼女、病気で入院しちゃって同僚は見舞いに行ったけど振られたって言ってた
「綺麗なわたしだけ覚えていて」「もう来ないで」って言われたんだと
それからしばらくして、夜同僚が寝ていたら部屋に何かが入ってきたらしい
半分微睡んでいてハッキリとはわからなかったそうだが、生きてる人の気配じゃなかった
そいつは同僚の手を握ってきた
冷たいやけに細い指だったそうだ
その時ふと同僚は別れた女のことを思い出した
こんな手になるまであの子は闘ったのか、とすぐにでも顔を見たくなったが、
「綺麗なわたしだけを」って言葉を思い出して思いとどまったそうだ
そのまま固く目を瞑って、布団に潜り込んできた彼女を抱きしめて、
そんな夜が数ヶ月続いたと言う
家族に顔色が悪いと言われても、それでもいいと思ったんだって
で、街中で偶然彼女の母親に会って
てっきり恨まれてるもんだと思っていたら彼女との昔話に花が咲いて驚いたそうだ
だから同僚は思い切ってこう言った
「彼女に手を合わせに行きたい」
そしたら母親は顔をしかめた
「あの子、死んでないわよ」って
いわく、彼女は退院して新しい恋人を作って元気にしているんだとか
ここまで背筋をゾワゾワさせながら話を聞いてた自分に、
同僚はニタァーっと笑いかけた
「俺は毎晩毎晩誰を抱きしめていたんだろうな」って
そんでぽんっと俺の肩を叩いてきた
「やるよ」って言われた
同僚寝た俺、寝れない
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