話す

ねぇ、今日はしないの？
時間なくなっちゃうよ

えっ？
あ、ごめんね。僕の話ばっかり。

うん。いいけど。

どれくらいしゃべってた？
もう少しで終わりなんだけど、、、

うーん、１時間くらいかな。
ちょっと、トイレ行ってくるね。

あ、そっか、ホントごめん。


彼女とホテルに入って、まずは僕の話を聞いて欲しいと話し始めて、いつの間にか１時間が経っていた。
話していたのは僕の仕事について。異動に至るまでのあれやこれや。

彼女がトイレから戻ってきた。
笑顔でソファの隣に座って、僕の手を握ってきた。

もう少し話す？

うん。
聞いてくれてありがとうね。普段自分のことを話すのってあんまりないから。
君に聞いて欲しかったんだ。

私は大丈夫だよ。
家で奥さんには話さないの？

お互い忙しいし、そんな感じじゃないかな、、、

そうなんだ。自分の気持ちをためてちゃダメだよ。
私でよけれは、いつでも話聞くからね。
シュージさん、大好きだよ。

うん、ありがとう。
どこまで話したっけ？

僕は彼女の目を見つめて、話を再開した。
心なしか、彼女の顔が少しにじんで見えた。