London ジェントルマン

紳士の国イギリスと言うが…
私の想像するジェントルマンは、誂えのスーツに山高帽、スティックかたてに靴はもう何十年も履いて、それでいて綺麗に手入れされている。

まだ、お目にかかっていない。
ただひとりを除いて！

ロンドンは室内全面禁煙である、当然滞在ホテルも禁煙。
私は喫煙者だ。
一方、屋外は喫煙可、日本のようにエリア禁煙でもないので屋外であればどこでも喫煙可だ。
歩きタバコも違和感ない。

ある朝、まずは一服とホテルの外でタバコをふかす。
ついでに散歩とふらふら歩いてみる。
と、前方から そう遠目にもジェントルマンと分かる初老の男性がやって来る。

海外では目が合った方には軽く会釈がルールだ、日本のように目をそらすのはとっても失礼な行為。
そんなこと心得ている私は、会釈しようと顔を上げて歩く。

近づいて来る、近づいて来る。
明らかに誂えのぴったりフィットしたスーツ、山高帽、持ち手にシルバーの装飾を施したナイスなスティック。
靴は良く磨かれている。

キタッー！

距離1m するとジェントルマンは片手を山高帽のつばに手を添え、
Good morningmisterと一言。
文字では表せない、ゆっくりと低く、口髭を蓄えたジェントルマンの口から発せられた一言は、それはもう英国紳士。

Good morning と私も挨拶し、その日一日爽やかに過ごした。
私もこんな爽やかなジェントルマンになりたい。