医院でのお誘い

大阪の医院で働いていた時のこと、年はとっていても新人、患者さんの顔も名前もなかなか覚えられません。
毎週同じ曜日にくるAさんは、熱心に通院してお酒も絶ち、かなり優秀な患者さんでした。
年恰好から私とあまりそう違わないかな？と思う余裕ができたころに、窓口でおしゃべりが始まりました。
「年いくつ？」
「いや、私の方が上ではありませんか？」
「俺、〇年生まれやで」
「あら、じゃあ私の方が少し年下です。」
５分ぐらいお話していたようで、もう午前の診察が終わる時刻、看護師さんが
「はいはい、もう終わり」
と受付窓口をピシャっと閉めてしまいました。

次の週にはまた話しかけてこられて、
「ご飯食べに行きませんか？」
と誘われました。
社交辞令で
「お誘いありがとうございます。でも仕事の方ですから」
とやんわり断れば、
「何も怪しいことしないよ。」
「いえいえ、スタッフと患者さんですから」
「そう硬いこと言わんと」
こんなやり取りを繰り返していました。