【お題日記】思い出の一曲（As time goes by）

初めて行ったマキシムドパリ（銀座）で、いかついひげ面のバイオリニストが、食事の合間に演奏を奏でてくれた。
席の担当ウェイターに曲をリクエストしてもいいですよと耳打ちされた。
そこで、応じたのが、カサブランカの「Astime goes by」。
我々のテーブルのそばで、演奏してくれた。
感激した。

それから、10年ぐらい後の話である。

ワイキキの浜辺に夕食の後に繰り出して、カクテルでもと思って、曲の流れているほうを見ると、ピアニストはまさしく日本人である。
彼女もこちらに気づいたようで、視線を投げかけてくれた。
「Astime goes by」をリクエストすると、うなづいて、すぐに演奏を始めてくれた。
十八番のようで、彼女なりのアレンジも素晴らしかった。
引き上げるときに彼女は何か言いたげだったが、みんなの手前、一緒に引き上げた。
まだ、演奏のノルマがあったようで、しばらく遠くからピアノの音がしていた。
名前だけでも聞いておきたかったと今更ながら思っている。