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桜が見頃ですね

2016年04月03日 23:46

今日は祖母がお世話になっている施設へ行ってきました。

腎臓病に冒されて自由が利かなくなってしまった祖父を去年から実家で介護しているのですが、祖父が祖母に会いたいと言ったので車に乗せて祖母の施設まで出かけました。

田舎道を山へ向かって片道車で45分と決して近くではありません。
先月手術を終えたばかりの祖父の体調が心配でしたが道中は元気そうでした。

田舎道を車で走っていると桜並木が視界に入りました。
ほぼ満開の桜に祖父は目を輝かせて見入っていました。

施設は環境の良い山の中にあるのですが施設の敷地には沢山の桜が植えてあります。
祖父が桜を目にしながら今年も桜が沢山咲いていると口にしました。
母親が部屋から祖母を連れだして桜を見せてあげたいとつぶやきました。

施設に入ると祖父は先頭に立って祖母の部屋を探して歩き始めました。
普段杖と車椅子の生活をしている祖父が自分の足で力強く歩いていたのです。
私達が案内する必要はなく祖父は祖母の部屋を見つけました。
ベッドで目をつぶり横になっている祖母を見た祖父はすぐそばにかけより口にしました。
「ばあさん、じいさんが来たぞ!!」
祖母は既に非常に進行してしまった認知症で歩くことも身体を動かすことも、言葉を発することもできません。
最近では目を開けることすら難しいのですが祖父の声を聴いたとたんに祖母の目が微かに開きました。
祖父は優しい表情をして祖母に近況を語りかけました。
これはドラマや映画ではなくて家族の実話です。
祖父と祖母のやりとりを見て非常に心を打たれました。
私は祖父と祖母の深い愛の絆に思わず涙が溢れました。

実は祖父の容態は昨年末には悪く、主治医には「腎臓は来年の3月まで持たないかもしれません」と宣告されていたのです。
そこで私は家族と食事療法の知識を学び直ぐ様実践に移しました。
腎臓に負担をかけない食事をつくり続けました。
私は朝5時に起き祖父のために朝食を作る日々を送っていました。
母と姉と交代で祖父の食事を作りました。
そして運命の3月を迎えたのですが、祖父の浮腫んでいた全身はすっかり問題がないほどになっていました。
90歳を超える高齢の為、人工透析をする為の手術さえ難しい状態でした。
このように高齢では苦痛を伴う手術などせずに天命を全うさせるという選択肢を望む家族も多いと聞きました。
しかし祖父は「がんばって、やる」と答えたのです。
そして手術は成功しました。

それから2週間後の検査で今すぐ人工透析が必要ない状態の腎機能を維持していることが判明しました。
このような生と死のやりとりがあった後での祖父と祖母の再会でした。

部屋の窓から沢山の桜の木々が満開の花を咲かせていました。
温かい愛と桜の花が印象的な1日でした。

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