手紙

今更ながら
ここに記そうと思う。

もう君は
ココにはいないけど
きっと届くと信じて。

あの時の俺は
知らなかったんだ
そんなに
悩んでた事を
苦しんでた事を
知らなかったんだ
こんなにも
想われていた事を。
心配されていた事を

20年近く同じ時間を過ごしてきたのに
忘れていたんだ。

大事にされ
愛してくれた事も。

何でもテキパキとこなす君が
とても頼もしく
ときに羨ましくもあった。

判断力
決断力
行動力
全部持ってたね

そう信じていたからこそ
君に頼って任せていたよね
ごく当たり前のように。

でも
違ったんだよね。

全ては頼りない俺の為
人一倍頑張っていたんだね
不安で押し潰れそうな日や
俺が眠った後に
一人で泣いた夜もあったんだね

君はそんな事
一度も言わず
何でもできる頼れる女で
あり続けてくれたんだよね。

それでも
俺の存在が
俺の微笑みが
君の宝物だと
そう書いていたね。

ごめんね。
あの時あの瞬間の事を
思い出すと胸が苦しくなるよ
もう少し優しくしてあげればよかった
もっと手伝っていればよかった
もっと抱き締めてあげればよかった
もっと…
もっと…もっと
君に愛を伝えてたらよかった



15年前に書いた君の手紙
見覚えのある君の字に
懐かしさを感じた。

君はもうココにはいないけど
俺の事恨んでて当然だけど

今頃になって
後悔しても遅いけど
ホント身勝だけど


心からごめんね。


遠いところにいる君に
届くと信じて。