ぼく・・・どいて！

最近


朝の通勤時間に


ＪＲに乗ることがあった


時間が時間なので


込み合っていた


都会と違い


地方の電車は


ボックス席のことが多い


つまり


４人が


向かい合う座席だ







朝の


通勤時間帯で


込み合っているのに


あるスポーツで有名な


高校の男子生徒一人が


座席の真ん中に座って


２人掛けの座席を


一人で占領していた


そして


部活の


大きなバッグに


顔を埋めて


寝ていた


周りには


通勤中のサラリーマンが


立っていたが


誰も


座席を独り占めしている


高校生に何も言わない








そこに


あきらかに


昔ヤンキーだったような


３０過ぎの


姉さん（おばさんには早いか・・・）が


やってきた


そして


座れる座席を探していた


座席を占領している


男子高校生を見つけて


「ぼく・・・どいて！」


と静かに


しかしドスの効いた声で


言った・・・・・







近くにいた高校生は


一斉に彼を見た


私も彼を見た


彼は顔を


真っ赤にしていた





高校生は


先生がいくら注意しても


言うことを聞かない子が多いが


元ヤンキー姉御には・・・・


弱いみたい


その高校生は


降りるまで


体を縮めて


顔を赤くしたまま


ずっとスマホを


いじくっていた