ミモザ

オジギソウ。
小学生の頃、はじめて見て、そして触って感動した。
葉っぱが、生き物のように動く。植物も生物だけれど、その頃の生き物といえば動物としか認識していなかった。
これまでに、何度か花屋の店先や植物園で再会したものの、自分にとっては滅多に見れない特別な植物になってしまっていたようだ。アカシアの仲間は似たように対の小さな葉っぱが並んでいる。期待を込めて触ってみても何の反応もしてくれなくてがっかりしたことは数知れない。
数年前、シンガポールを訪れた。ビル建設予定になっているのか、広い土地が何もないまま残っている。駅に向かう人が斜めにショートカットしていく。遊具のない公園と言ったところだろうか。アカシアの葉っぱに似た雑草を見つけた。一面に広がり、人々はそれを踏みつけて通り過ぎていた。
まさかと思って触ってみて、感動。一面オジギソウが生えている。触って閉じた葉が、再び開くのを待つ必要がない。鉱脈を発見したような気分になり、しゃがんで触りまくった。
シンガポール人の友人に声かけられた。「何してるの？」
この感動を一生懸命説明するも、「ミモザでしょ」　そこらにいっぱい生えている雑草だという。
一瞬であるが、ここに住みたいとまで思った感動を根元から崩されてしまった。
その友人、日本に来たときには桜の花に感動し、案内した場所全ての桜の花で大はしゃぎ。桜の写真を2000枚近く撮っていた。まあ、日本人としては桜の花を雑草のミモザように片付けられなかったけど。