- 名前
- たっくす
- 性別
- ♂
- 年齢
- 37歳
- 住所
- 広島
- 自己紹介
- 楽しく話せたら、まずは満足です。 と言いつつ、訪問時にきつめな書き込み、するかもしれ...
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てさぐり
2014年02月03日 02:14
駅で待ち合わせ。少し早く着いたので、通りすがる人を眺めてた。
行き交う人は様々で、みんなホームや目的地、我が家を目指し一直線だ。
中には、白杖を持った人もいた。珍しくない光景だ。
改札を出て、器用に杖を等間隔に弾いて歩いている。
時折、方向転換する。本当に上手だ。実は極度に視力が低いだけで、
ぼんやりとでもみええるんじゃないか?そう思えるくらいだった。
普段は起きなかった興味が湧いてきた。少しだけ、その方の足跡を追って見ることにした。
若干の後ろめたさを感じつつも見守りながら少し距離をおいて背後をついていく。
本当に器用だ。怖くないのかねー見えないのが。
近くを通る人も、避けて通ってくれる。…なら、大丈夫かなー。
などと思ってると、点字ブロックに差し掛かる。途端に向きを変え、
点字ブロックに沿って歩き出した。
一気に自分への気まずさが増した。やっぱり、見えないんだ。
不安に決まってる。
それを、興味本位でつけまわして…
でも、もう少しだけ様子をみることにした。
点字ブロックを外れて、柱に近づく。
手を伝って、柱を回り込む。待ち合わせをしてる男の子がすぐ横の面に。ぶつかるっ…!
間一髪で男の子が交わしてくれた。ホッと胸を撫で下ろす。
見えてないその方は、自動ドアを通って駅ビルに入ってしまった。
そこで、行き先あってる…!?
もう見ていられなかった。正しくは、見てるだけじゃいられなくなった。
近づいて、回り込み、話しかける。
あのー、どちらにー行かれたいので?
「いやね、トイレに寄りたいんですがねー。自由通路のとこにあったはずなんですよ。」
自由通路のとこのトイレ…
判らなかった。多分、見える人とそうでない人との目印の覚え方が、全く違うのだ。
とにかく自由通路まで行けば…彼の腕をとった。
「時刻を音声案内してるとこあるでしょ?あそこからならわかるんですが。」
彼が俺の腕を掴み返す。弱く、弱く。
すまなさと、不安の現れなのだと、そう感じた。
ああ、それならこっちですよ。
彼に腕を取らせて一緒に歩いていると、「目印」にすぐたどり着いた。
「ありがとう、助かりました。ここからなら、多分大丈夫です。」
いえいえ。
それだけしか言えなかった。声をかける前は、俺は貴方を…
その後も、心配で遠巻きに見ていた。
「目印」からの道順を覚えているのだろう。階段をそろりそろりと探り当て、降りて行く。
うん、大丈夫そうだ。
不審がられるかもと思ったが、独りで目を閉じて、点字ブロックの上を歩いて見た。
雑踏の中、足の感覚に集中するのは大変だった。なにより、前に何があるかわからない。
すぐに目を開けてしまった。
そもそも、点字ブロックに行き先表示はない。
ブロックの上を伝って、何度もぐるぐると同じところをさまよいそうだ。
学校の授業の中で、習ってはいた。頭で理解してもいた。
でも、現実じゃなかった。
治す術はないのか。俺たちは、どう接したら彼らと対等で居られる?
足下のブロックを見つめて立ち尽くしていたが、ふと目線をあげると、待ち合わせ相手が駆け寄ってきた。
「ごめん、遅くなりました。」
おう、お疲れ様。
相手の元気そうな姿を、表情を目に捉えられるのが、嬉しかった。
今度は、見守りやしない。
すぐ声をかけよう。
行き先を聞いて、本人が大丈夫な位置まで腕を貸そう。
高慢で自分勝手なのかもしれないけど、やたら狭く大回りな点字ブロックの小径を見つめながら、
そう思った。
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