人狼、月に思い馳せ

中学二年の冬

真夜中に
肉まんと
缶コーヒーのブラックを
飲めないのに
眠気覚ましにって
かこつけて買って
近所のマンションの
屋上に忍び込んで

あの人が教えてくれた
流星群を見てた

自分だけの
秘密基地みたいに
あの人との
約束みたいに

ワクワクしながら
夜空を見上げてた

今なんかそん時みたいな気分

あれはやっぱり
初恋だったなぁー
叶わない恋だったし
大学生になって
疎遠になってしまって
いつの間にかあの人は
結婚して
仕事もやめてしまっていたけど

当時は毎週土曜の夜に
あの人の声が聞けるのが
楽しみで楽しみでしょうがなかった

私自身
あの頃のあの人より
随分年を取って
いろんなことをして
いろんな人に会って

ほんと
信じて振りかざしてた綺麗事は
もうなかなか口に出せなくなってしまったけど

根っこにやっぱり残ってる

私を形作る一番大切な時期に
私の一番好きな人でいてくれた

屋上はとっても気持ち良くて
満月がうるさいくらいお喋りだから

幸か不幸か
変わってない自分と話せた

これぞ中二病だなー
あはは