風と娘のお墓参り

今日は二人の作家のお墓参りをしました。
まずは、敬愛する人生の師匠である山田風太郎先生のお墓参りに行ってまいりました。山田先生に出会ったのは、大学三年生の時でした。今でも苦しい時は先生のエッセイを読みます。兵庫県の関宮にある記念館には足を運んでいたので、感激も一入でした。霊園からは穏やかな景色が眼科に広がっていました。
その後中央線で三鷹に行きました。禅林寺です。文豪森鴎外と無頼派太宰治のお墓があることで知られています。太宰は３月に斜陽館に行ったこともあり、興味がありましたが、この二人以外にも、もう一人作家が眠っています。私はその作家のお墓に用がありました。
森鴎外最高傑作と謳われた森茉莉です。残念なことに、茉莉は今の若い人にはあまり知られていません。死後20年以上経っているにも関わらず女性文学史でも取り扱われていないのです。茉莉の美意識、価値観を知らないことは勿体ないとしか思いません。茉莉が亡くなってから出版された全集は大変美しく、まさしく【茉莉好み】と言えます。特に三島文学を研究する人にはぜひ茉莉の小説やエッセイを読んで欲しいと思います。今は茉莉が愛し愛された父森鴎外と母しげの隣に眠っています。明治から昭和を生き抜いた茉莉を〈パッパ〉の鴎外は「お茉莉は上等、お茉莉は上等」と褒めているでしょう。