坂井ちゃんとロールキャベツ

好きな人がどんどん遠くに

そんなことを思ったとき

女性のとる行動のひとつ

女らしいところを見せる

その人のために頑張ってるところを見せる


ちあきと和くんが

なんかこそこそと動いてる

夕飯の仕込みみたいだけど

なんでキッチンじゃなく二階で・・・？

理由は　キッチンにいる坂井ちゃん

なんか料理を・・・

・・・

坂井ちゃんが料理・・・

大丈夫なのか・・・？

食卓に坂井ちゃんと２人

「ゆうこさん　頑張ってロールキャベツ作りました」

「おっ、おいしそうだ」

「へへへっ」

見た目はロールキャベツ

クリームシチューの中に浮かぶキャベツ

これは　ちあきの入れ知恵だな

新宿のあの店風だ

「いただきます」

ロールキャベツをパクッ

うん　味はおいしい・・・けど

「あのさ　坂井ちゃん・・・」

「はい　なんですか？」

「ロールキャベツって食べたことある・・・？」

「ないですけど」

「そっか・・・」

見た目は問題ないんだけど・・・

中身が・・・

キャベツだけ・・・

キャベツ巻きって意味じゃ　間違いないけど

わたしの中のロールキャベツって

ひき肉のかたまりのキャベツ巻きなんだけど・・・

「ところで　なんでいきなり料理しようって思ったの？」

「なんか　嫌なんです」

「何が・・・？」

「ゆうこさんが　何か遠くなってくみたいで」

「うん？わたしが？」

「わたしの知らない人とたくさん」

ああ　そういうことか

多分　ちあきと和くんは例外として

わたしが　自分だけのじゃなくなっていく

それが耐えられないってことか・・・

そこまで思われるのって　悪い気はしないし

嬉しいくらいなんだけど

根本的なところで間違ってるかも

わたしは　例外なく　誰と何があろうと

ちあきだけのものなんだけどな・・・

あとで　わかったこと

結構　シチューっていうかクリームソースも

美味しかったのは本当なんだけど

レトルトのクリームシチューかけただけって

これは　手抜き？　合理化？

坂井ちゃんの気合って・・・


　　　　　　　　　　　　・・・微妙だ