振り向かないでお願いだから｡今ﾈ…

振り向いてくれたから､君をみつけられた｡
雑踏の再会｡君はあの頃と同じ風の色の瞳をしてた｡
『嫁さんが出産の里帰｡俺､一人なんだよ』『結婚してたんだ｡ｵﾒﾃﾞﾄ｡更にﾊﾟﾊﾟか､嬉しくて笑い止まらないでしょ』
『お前は?随分前に結婚したって聞いたけど､今は幸せ?』
『うん…｡3年くらい前かな､離婚したんだけど…』
『あ｡ごめん』
『ううん｡今は幸せだから｡』
『俺のうち､散らかってるけど来ないか｡』
『ごめん｡待ち合わせの時間があるの｡お嫁さんと赤ちゃん帰ってきたら､遊びにいくよ｡そのときは連絡ちょうだいね』
その場でﾒﾓしたｱﾄﾞﾚｽを渡す｡
昨日､手術したばかりの足で少しばかり無茶をして走って逃げた｡
『結婚式には呼んでよ｡友人代表でｽﾋﾟｰﾁしてやるよ｡』
『そっちこそ､俺を呼べよ｡お祝いにｱｺｷﾞでｱﾗﾝﾌｪｽ弾いてやるから』
長いｷｽの後に交した言葉｡
いまは懐かしい思い出の欠片