透明

いつからか 忘れてしまったんだ
言葉を発することを
好きも嫌いも、苦しいも楽しいも

一人で耐えてきたから
一つの感情を持ってしまえば、
それが引金になって きっとどんどん溢れ出して
自分が壊れてしまうと思ったから

感情を捨てたの
ニコニコしてれば 周りは不快にはならないと思った

何も口にせず ただニコニコしてた
ニコニコしてるつもりだった

怒ることも忘れた

ただ、全てを受け入れて
ただ、全てを肯定しようと思った

疑問なんて持ってはいけなかった
少しでも疑問を持てば自分が壊れてしまうと思ったから

いつの間にか 言葉を忘れた
接続詞が出てこない
文法が作れない
ただ、単語を並べて
片言しか話せない


他人が全て怖い
この世で、信用していて尚且つ安心できる人がいない
凄く大好きで可愛くて仕方なかった弟ですら、今は怖い

大好きな両親も怖い
祖父母も
友達も
会社の人も

人は、騙すし、嘘つくし
裏切るし、絶交するし、見捨てる

どこにいても安心できない
あたしの居場所はどこにもない

存在価値が無い
消えることも迷惑なら、ただ空気のように、害のない透明な存在になろう
居ても居なくても迷惑にならないような透明な存在になろう
誰の記憶にも残らず、快も不快も与えない透明な存在になろう
そのまま、誰の目にも映らないように消えてしまえたらいいのに