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干拓地奇譚(26)

2010年09月02日 21:03

孤独?。。。。。。

いやこれは、尻に帆かけろっていう本能だよ。

冗談じゃあねえ。何だ、この惻惻としたヤバイ感触は。しかも、なんか耳につく音が聞こえてる。動物がものすげえ数、どこかで俺にむかってワメいてる感じ。

俺は、なにかわけわかんねえ生物だか人間だかの、恨みをかってる感じ、っていう。

「おいちゃぁん?!」

絶叫調でさけぶ。無論、返事なし。返事するような人じゃねえしな。。。

テトラポットから、ずっこけ寸前にあわてふためいて陸へとび移る。息が妙にあらくなり、そうして係留中の船舶に人がいる筈という事を思い出すわけだ。

俺は、はしった。とりあえずは海上保安庁の船に接近して。。。あら、ら、ら?!?

いねえ。。。。。

先刻までここにいた、海上保安庁の船が、きえてる。。。。

冷たい汗が横っ腹をつたう。俺は、沼のように凪いでいる海の四方八方に視線をはしらせ海上保安庁さまをさがした。

。。。。完全に、いなくなっていた。しかし。。。。。

あの、白い巨大な国籍不明船。あれは、威容をほこりつつ、目と鼻のさきに、不動。やさしい波頭が、船側でチャプリチャプリと音をたてる。

普通に安堵すりゃあいいじゃん。

この船。人がのってたんだから、この巨体ん中にゃあ外人にしろ誰にしろ、俺以外の「大人」がいるわけだ。俺みてえな餓鬼がここにとりのこされて、得体の知れねえほえたりわめいたりするモノから、たとえば食玩みてえにズタボロにされるなんざ、無い、わけだ。

。。。よな。。。。。。?

「おいちゃあああああん!!?!」

悲鳴に近い。自分のあまりの気違えた声に、笑いがもれる。

「ぐ、うははひゃひゃ」

。。。。。狂ってるぜ。しかし、何だこの恐怖は??

ぎくり、として、ある方向を向く。あの、ま新しい柵の変電設備。相変わらず、ブゥゥゥゥーーーンという唸りを確認できる。

まてよ。この唸りが、俺の妄想(ものすごい数の変なものが悲鳴をあげながら俺を凝視するの図)の、大もと、か??

。。。。。。まあいい。俺も不逞をもって忍ずる、天才不良だぜ。ヒザががくがくしてっけど、あそこまで行ってみよう。

そうだすぐにヤれや俺、このクソったれが!逝けよバカ!!

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