手紙が届いたら封を切らずにそっとしまっておいて　時

「今」では、伝わらない思いがある。言葉がある。
どこかでねじれて折れ曲がった心と心。
もう、言いたい言葉は1つも出てこない。

「あたし、猫になりたいなぁ･･･」
高校の進路指導室から、グラウンドで練習してる野球部が見えた。
「お前が？･･･意外だなぁ」
担任は、進路がもう決定しているあたしを呼び出して、何を話させようとしていたんだろう。
忙しい先生だったのに２時間もあたしと一緒にいた。
「でも、お前がなるなら気まぐれなシャムネコか？孤高な野良とか。」
そう、あたしはあの頃も素直な心、見失って、頑なに。
「違うよ」
言ったきり、声が出なかった。
この人に、教師なんかに素顔を見せるもんか･･･。

「暑いの苦手だしね、ロシアンブルーとか（笑）」

ホントに言いたかったのはね、あのね･･･

言えない、言わない、言ったらいけない言葉。
もう届かない言葉と心。