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レイクサイドマーダーケース

2009年08月10日 08:58

群像劇かと思いきや

主人公以外は
心理トリックのための賑やかしになっている
という割り切り方がすっきりしている
少し前に唐沢俊一さんたちによって復刻された
貸本ホラー漫画連想させるスッキリさだ

登場人物に語らせる言動のそこここに
作者の世間や日本社会に対する
怨念(またはリサーチによって得た最近の日本人の不満)がちりばめられていて、

風刺なのか知らないが共感はできない
全員、基本的に希望の無い諦観を決め込んで自己正当化しているからだ
そういう人間だということは作品の中の登場人物にも語らせているから
作者もこの作品の登場人物に現実で会ったとしても共感しないだろう

しかしそのような人間像にしているがゆえに
なんとなくこの荒唐無稽な物語が
現実味を帯びて自分に迫ってきた
この集団の中に一人放り込まれたら、
自分もこの心理トリックから抜け出せないで
嵌まってしまうかもしれないからだ

人間一人ではなく、集団を俯瞰して描いている
そのような客観的な描写で
感情を煽るような部分の無い作品なのに
見終わった後なんとも言えない気持ち悪さがこみ上げてくる
こうして感想を書くために
内容を思い出すたびに気持ち悪い思いになる

この作品がこのような気持ち悪さの残滓を観客に
与えようとしているのは明らかであり、
その部分をとってもこの作品が良くできた作品であるということに
唸らせられる

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