夏時間の庭

この映画は、成り立ちがかわっていて、オルセー美術館が開館20周年を記念して、監督（アサイアス監督）に映画の制作を呼び掛けたものです。ですから、名画やらアールヌーヴォーの家具やら、花器やら、コローの絵とかが非常に重要な役割を持っているのです。
あらすじはというと、パリから郊外の邸宅に老女が一人で住んでます。通いのお手伝いさんエロイーズがいますが、普段は人が来ないこの家に、今日は息子・娘家族があつまってます。長男は経済学を大学で教えているフレデリック、お皿などのデザイナーで今は高島屋に卸すお皿をデザインしているニューヨーク住まいの長女エイドリエンヌ、そして中国で仕事をしている二男ジェレミーで、長男・次男にはそれぞれ妻と子供たちがいます。料理の合間に、母親は自分が死んだあとの家の行方、調度品や芸術品の行方を長男に話します。この家は亡くなった夫方の叔父である画家ポール・ベルティエの屋敷だったもので、コローの絵やルドンの絵、ふぇリックス・ブラックモンのガラスの花器、マジョレルの家具、そして子供たちが昔、壊してしまったドガの踊り子の像などなど・・・。
　母はポール・ベルティエの回顧展を成功させたすぐ後に死んでしまうのですが、残った家に集まった3人の子供たちの間では、遺産に対して異なる意見が・・・。
　結局、相続税を考えると美術館に寄贈しようということになり、コローの絵は長男フレデリックの反対はあったものの二男ジェレミーの経済的な訴えから売却することに・・。
　すべてを失いがらんどうになった家。
　一方、オルセー美術館では寄贈された家具や美術品を観光客がさらっと見るだけ・・。
　
　家を売却先に明け渡す前に、フレデリックの子供とその友達が、家の中で乱稚気パーティーをします。フレデリックの娘は祖母を思い出しつつ、林の中にボーイフレンドと消えていきます。
　うーん、すじなんかどうでもいいのですね。人生を甘く切なく描くフランス映画してます。
　そして、オルセーしてます。