夏の風物～怖かった話～

もう10年以上前の話だけど、ふと思い出したので書き綴ってみようかと。
大学1年の頃、酔い潰れてアパートに帰って来た日のこと。

玄関入って右側がキッチンと洗濯機、
左側がユニットバスとトイレ、
そして奥に6畳の学生向けアパート。
南窓で101号室の西側の角部屋。

この日はかなり寄ってて、玄関しめたら倒れこむように
窓際のベッドに沈み込んだ。
（はぁ～今日も飲んだ～♪）
なんて一息ついてたら、
何やら風呂場の蛇口から水が滴る音が…
（起きるのめんどくせぇー、えぇい聞こえないフリ！）
と窓側向いて横になってた。
（それにしても、帰って来た時は気付かなかったなぁ。水漏れっぱなしで出かけちゃったか）
なんてそれでも節水に失敗したことを反省してたら、
水の滴る音に変化が。

洗面台に滴ってたはずの水がプラスチックの床の上に滴り始めた。
（あぁ～激しく漏れ始めたか、でも止めに行くのめんどー）
と聞こえないフリを続けていたら、
今度はその水溜まりに足音が！
（何だ？何だ？何だ？）
と酔いが一瞬で覚め、だるくて動けなかったのが
緊張で動けなくなった。

全身に鳥肌が立っているのを感じつつ、視線とは逆方向に
全神経はお風呂場に。
足音が…お風呂場から出てきた。
（キッチンの前に出て来た！）
一歩ずつ、一歩ずつ、こちらへ近づいて来る。
お風呂場以外は水なんてこぼれてなかった。
でも水たまりを歩く足音が、ゆっくり近づいて来る。

振り向いて錯覚だと認識するか、このままじっとしているか、
ほんの数秒の間に何度もそのどちらかを選ぼうと必死になり、
いよいよ足音が背中から50cmも離れていないところに来た。
緊張のピークで、そのまま意識をなくしてしまった。

朝飛び起きるように起きて、早速体中をチェック。
特に手形とかはなかったので一安心。
人生で1回きりの恐怖で意識をなくした経験でした。
夢だったのか、本当にどなたか遊びに来てたのか、
それは分からないけど、夢だとすればあんなリアルな夢、
見たことない。

余談だけど、西の角部屋は出やすいらしいよ。
アパート選ぶときは気にしておくといいでっせ。