クリーニング屋の店員

昨年の秋頃から生き始めたクリーニング屋がある。
それまでは作業着での仕事であったため、特にクリーニング屋などに自ら足を運ぶ事も無かったが、会社で配属が絵があったためにスーツ姿での仕事になった。
初めのうちは家内がクリーニングへ出してくれていたスーツやネクタイなども、回数を重ねるごとに億劫になってきたのか、お金を手渡されるようになったため自分で行く羽目になってしまった・・・

職場から自宅へ帰る途中、1件のクリーニング屋がある。
（クリーニング屋とはいっても商品受け取りと引渡だけの窓口営業の店であるが）
初めて訪れた時、不慣れだった私を見て察したのか、随分と親切に対応してくれた。
それに気を良くした私は週に1度か2度、そのクリーニング屋に通うようになった。

仕事柄、お店に顔を出せる時間は閉店間際の19時前後に限られているため、時には間に合わない日もある。
通い始めて1か月も経たないある日、19時を過ぎていたために諦め半分で来店したところ、快く引き取ってくれた事があった。
私は翌日の商品引替え時に、お礼のつもりでショートケーキを渡した。
この事がきっかけで、彼女とはちょっとした知り合いになった。
それ以降、来店時にはちょっとした世間話に花を咲かせていた。
ほんの10分程度のつもりが時には30分以上も話し込んでいて、
気がつけば辺りが真っ暗などという事も珍しくなくなっていた。

今でもそんな関係は続いているし、私は彼女と過ごすこの時間を心待ちにしている。
もちろん一線を越えた関係になどはなっていないし、それを期待もしてもいない。
でも、長年味わったことのない純粋なドキドキ感はとても新鮮な感じがして嬉しい。