【SS】hindsight bias

「サ・イ・ア・ク！」


それは夕方ファミレスでのこと。
ドリンクバー片手に酔っ払ってる私。
のんきにフライドポテトつまんでるのは私の友人。

「ありえない！なんであんなやつのこと一瞬でも好きとか思ったんだろ！
　今すぐ取り消したい！あーありえないありえない！」

私はギャーギャーわめき立てる。
マシンガントークと言われるように私は口数が多いことで有名。
今日は更に３割増しな気がする。


「マジありえない！大っ嫌い！！」


そうなんだ、と微笑んでるかと思ったら。
掛けられた言葉は、まさかの。


「本当に好きなんだね」

「っ…！」


……バカ。

泣くな。
泣きそうになるな。

今そんな、気持ちなったら、
認めることになってしまう。

ダメ。
落ち着け。


「そんなことな…」


言い始めて、口をつぐんだ。
優しい視線が、なんだか痛くて。


気付いてた。
本当は心の奥底どこかで気付いてた。
でも認めたくなくて。

いつも近くにいたから。
憎まれ口叩いて
罵り合う関係が
ずっと続くと思ってたから。

こんなに大切な存在になってた
ってわかってたら
もっと優しくできたかな？

今となっては
想像しかできない。


ソーダを一気飲みして、瞬きを繰り返した。