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ただいま。+α

2008年08月21日 00:46

「ただいま。」
誰もいないことがわかっている部屋に僕は言いました。

「おかえり。」
明るくなった部屋に僕が返事を返してくれました。

「友達より他人になろうよ。」
携帯ごしに伝えた日。
もうあの日から僕の部屋では、
「好き。」も「嫌い。」も死にました。

それでもまだ鍵を変えないのは、
火葬できない君の写真と、
迷子のまま途方に暮れてる、
夜明け前の僕のせいなのでしょう。

誰だって都合のいい幸せを欲しがる理由は、
多分、ずっと幸福な敗北感を映されて、満たされて、
気が違ってしまったんですね。

厳しくはなれないけど、一人でも大丈夫さ。

「格好悪い。」ってぶーぶー言いながらも、
いつも一緒に商店街で買い物をした帰り道でした。
平凡な幸せを見つけたのは。

夕焼け空、背にした僕達。
背伸びした影は家路に近く――。

それは楽しい後悔だったから、
寂しかったけれど笑っちゃいました。

いつだって思い出は、思い出に過ぎないんだよと、
やっと慣れた一人での食事をしながら、
「まだ僕はだめじゃない。」って、巻き戻しを止めました。

優しくもなれにけど、一人でも大丈夫さ。

そう、
部屋の片隅に座っている、少し大きめの冷蔵庫
空っぽに近い中身は、きっと僕自身なんでしょうね。
きれて壊した目覚し時計
直しもせずに飾っている。
止めた時間と空っぽの僕を捨てたら。
すぐにこう言うんだ。

「ただいま。」

(そして今日も駅を降りて商店街で買い物をする。
空っぽ冷蔵庫に入れるたくさんの食べ物を両手に持って、
いつもの道をアパートに帰る。夕日がきれいだ。
階段を上って廊下を歩く。
鍵を開けて一寸だけため息をつき。
いつもと違う気持ちでドアを開けて、僕は言った。)

「ただいま。」

―――「ただいま。」 bycali≠gari

このデジログへのコメント

  • 影法師 2008年08月29日 00:49

    切ないけれど、前向きさを感じる詩ですね。

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