今日は、一緒に泣いてください。

ときどき、思い出し、人知れず。

　　　涙で

　　枕をぬらす事があります。

　もう、十年以上たちますが

二度目のリストラを経験し

　離婚することになりました。

　　そして、二人の間に生まれた、

　一歳の女の子は

　　妻が提示した条件を受け入れ

　　　妻が引き取ることに。

　その条件は、

　　　”養育費はいらないが

　　　　　子供には会わせない。”

その、数ヶ月前

　実父を癌で亡くした私は

　　その条件を受けるしか、

　　　精神的な余裕すらありませんでした。

最後の別れの日、

　まだ、何も知らない

　まだ、言葉を話すことができないと思っていた

娘が

　両手を広げ、うれしそうに

　　”パパ”
　　
　そう言って

　　私に飛びついてきました。

　　娘は、

　　　”言葉を覚え、ほめてもらいたい。

　　　　　よろこんでもらいたい。”

　そんな、感情が伝わってきます。

　　”私がもっと、強い父親だったなら。”

　そんな、思いがこみ上げます。

　　私は、そんな娘を、

黙って突き放し、妻に渡しました。

　娘の悲しそうな顔を

　　今でも思い出します。

　　　...................................。
　

　
　ときどき、思い出し、人知れず。

　　　涙で

　　枕をぬらす事があります。