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傷モノじゃない

2015年01月16日 14:51

「女だから、身体を傷つけたりするなよ?」


よく、亡くなった彼に言われました




死ぬまでに、作らなくていい傷をつけるなという意味だと
ずっと受け止めていました



そんな彼の身体は、傷だらけでした


殴られた傷、切った傷

さまざまな箇所に、さまざまな傷がありました


私「なんでこんなに傷だらけなの?」
と聞いても、いつも答えは一緒で

彼「転んだり、悪さしてついた傷」



傷の理由は、後で知りました



私たちは子ども保護施設によく出入りしていたわけですが

家庭に問題がある子が利用することもあって、
両親の暴力から逃れてきた子もいるわけです

そんな子をかばって、つけた傷



石のように丸くなり、ただただ子どもを抱きしめたまま
暴力的な親から
されるがままに殴られ、蹴られ
それでも子どもを守るところを見たのは、大学に入学してまもなくのこと



こんな暴力的な親から、子どもたちを守るため
私の知らないところで、ずっと頑張ってきた彼



ある親は、子どもを守る彼を
ハイヒール太ももを蹴り、足に穴を開け

またある親は、持ってきたカッターナイフで、彼を切りつけ

ひどい親は、金属バットで彼を叩いたりもありました



全身の傷を数えたら、10や20では足りないほど
いつもどこかに傷やアザがありました




私も幼少から、産みの両親の暴力に遭ってきたから
子どもの気持ちは痛いほどわかりますし
叩かれ殴られている彼の痛みも、すごくわかりました



私が何度も「警察に相談しようよ」と言っても

彼「そしたら、アイツ(子どもたちのこと)の親は警察に捕まったって(話が)広がるぞ。
俺には出来ないな・・・」
といって、絶対に訴えたりしなかった彼


殴られているときに駆け寄ろうとしても

彼「こっちに来るな!」と
いつも私たちを遠ざけようと張り上げた声を、今でも思い出します



施設の子たちとプール海水浴に行っても

ずっとシャツを脱がなかったり

お風呂に入るときも、なるべく泡で隠したり

誰にも心配させまいと振舞っていたのが、

私には愛しくて愛しくてしょうがないんです



私「子どもには見せたっていいじゃない?
だって、守ったときについた傷だよ?」
って言っても、まったくダメ



彼「子ども(たち)がこれを見て思い出したら
心が傷つく。そんなのダメだ」





そう言いながらも、彼の顔が笑顔だったことをよく覚えています




なんであなたは、そんなに他人を見られるんですか?

あなたは本当に、ただの人間ですか?

あなたは神様の使いか、神様そのものじゃないんですか?

と、何度考えたでしょう




裸で抱き合うと、よくわかるんですよ

背中の傷のくぼみに、指を這わせたときや

腕の切り傷に、指を走らせたときや

足の叩かれたあざに、そっと手を触れたとき




この傷の分、子どもたちが助かった

この痛みの分、子どもたちが苦しまなくて済んだ


傷がそう物語ってるんです




私には、たくさんの暴力に耐えられる頑丈な身体もないし

頭だって良くありません


それでも、大切なことやしてはいけないことくらい

区別も出来るし、判別も出来ます




だから、子どもたちにはいつも

してはいけないこと、したら傷つくことを教えるようにしています




子どもたちみんなが、彼のような生き方を出来るなんて思っていません


ですが、大切なことを守れるよう


いつも心に留めておいてほしいんです




暴力を受けて育った子は

大人になったときに、自分の子に同じ事をするという統計が出ているそうです



でも、そんなのはどうでもいい



大切なことは、子どもたちが大人になったときに

負の連鎖をつなげないこと


こんなことに負けて欲しくないんです




施設の子で、母親売春婦で、父親がわからないという子がいました


母親がある日、子どもを取り返しにきましたが

その理由が、「子どもに客をつける」=自分のように、売春をさせて稼ぐ

というものでした




懸命に彼が母親をなだめ、何とか帰したあと

子どもたちにそっと寄り添って、彼が言っていました


彼「女の子は大切なものがあるからな・・・

本当に好きになった人にだけ、そういうことを許そうな」



世の中には、買う人がいるから
売春が成り立つわけですが

少なくとも、あなたたちは簡単に売ったらいけないよ

少なくとも、あなたたちは簡単に買ったらいけないよ

そう訴えていました




私も33歳、もし売春をするとしたら

相場というものがあって、きっと金額も安いのでしょうが

大切なのは金額じゃないんですよ


自分の大切な身体を売るということが

どれだけ自分の心を傷つけるかが、大切なんですよ




私も彼に会っていなかったら、そういう人生を送っていたかもしれません

身体を売ったお金で、衣食住を揃え

いい気になり、遊ぶだけ遊び

くだらない人生を送っていたかもしれません




今の私の人生、はっきり言ってお金に余裕はありません

お仕事は毎日残業なのに、賃金は安いし

イケメンにも無縁だし、お友達とワイワイ楽しくなんて、ほとんどありません


でも、私は自分の人生に不満はありません


それは、彼のおかげで道を踏み外さなかったから

お日様の当たるお仕事をして

お日様に恥ずかしくない人生を送っているぞ
胸を張って生きているから



彼の多くの傷の中には、私を守ってついた傷も何点かありました


せっかく私を守ってくれてついた傷なのに
私が道を踏み外したら、その傷に対して失礼です



私は自分の人生を終えるまで、絶対に道を踏み外したりしません
そう心に決めているから




だから、セックスを軽く考えていないし
彼の次に本当に好きな人が出来るまで、身体を許したりしないんです




掲載元
http://24.media.tumblr.com/688dacba51e90ae6f3cd010257496e09/tumblr_mje62qLBGu1rfkswfo1_1280.jpg

このウラログへのコメント

  • ゆっくん。 2015年01月16日 16:15

    大切にしてもらった記憶が
    自分を大切にする力に
    なるのかもね。

  • キンタ 2015年01月16日 18:42

    今の時代には合いそうにない
    真っ当なお考えだと思いますよ
    でも、ちょっとお堅いかもね
    少しはぼ~っと

  • たそがれt 2015年01月16日 20:29

    そうゆう人って本当に、居るんですね…
    セカンドラブは難しいかな…!?

  • 十三男 2015年01月17日 12:49

    すごい人ですね。その彼に認められた貴女も。子供の味方になり続けてあげたこと…、言葉になりません。

  • Hi_Lot♂ 2015年01月19日 12:38

    亡くなっても貴女を守り続けてる

  • ノブ 2015年01月19日 19:08

    凄く感動しました大切な事を思い出させてくれたような気がします。本当に素敵な彼ですね(>_<)

  • Sマリオ 2015年01月23日 07:33

    あんたは偉い!!感動した!!いろんな人がいるんだなあ!!今でも!!まして世界には!!

  • 佐々木健介 2015年07月17日 23:19

    いちごちゃんにとって、彼を深く深く愛した事。彼への愛がプライドなんだね。そして、

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