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仕事は適性かどうかで決める:クモの世界
2016年10月26日 23:50
<仕事は適性かどうかで決める:クモの世界>
職業を選択する際にはその人の性格を充分に考慮する必要があります。
どうやらこの事は人間に限ったものではなく、クモの社会でも仕事を選ぶには性格が重要なんだそうです。
クモの仲間にはアリのように共同生活をする種類のものがいて、それぞれ個性よって集団内での役割や仕事内容が決められているとの事です。
これはピッツバーグ大学のWright氏のグループが、権威ある米国科学アカデミー紀要誌に報告した内容です。
論文タイトル:Animalpersonality aligns taskspecialization and taskproficiency in aspider society
科学誌名:Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS) 2014 ;published ahead ofprint June 16, 2014, doi:10.1073/pnas.1400850111
著者:Colin M. Wright, C. Tate Holbrook, and Jonathan N. Pruitt
アリのような社会性昆虫では、身体的な特徴を基に仕事が決められるそうで、例えば体の大きなアリはエサを運んだり、外敵からコロニーを守るのが仕事になっているようです。
しかし、個々の性格が仕事にどのような影響を与えているかはよくわかっていませんでした。
そこで研究では、アメリカ大陸に生息するヒメグモ科のアネロシマス・スタディオサス(Anelosimusstudiosus)のメスを使って、性格と仕事選びについて調べました。
クモは、「攻撃的」あるいは「おとなしい」という2つの異なる性格のどちらかを持つのだそうですが、まず性格を判別するため、箱の中に2匹のクモを同時に入れて観察しました。
しばらくして2匹が互いに近づいた場合は両方がおとなしく協力的とし、反対の隅に離れていった場合は2匹の内少なくとも1匹が攻撃的と考えました。
更にこの攻撃的な場合は、既におとなしい性格であることが分かっているクモと一緒にさせ、攻撃的性格かどうかを判断したそうです。
次に、それぞれの性格のクモが受け持つ仕事を観察しました。
その結果、攻撃的なクモは群れを守り、獲物を捕らえる事にほとんどの時間を費やしたのに対し、おとなしいクモは小グモの世話を主にしていることが分かりました。
また、攻撃的なクモは侵入者を追い払ったり、エサを捕まえることに長けていましたが、小グモの世話をするのが下手で不注意で殺してしまうため、その子孫は生存率が低くなっていたそうです。
ところで過去の研究から、攻撃的なクモと優しいクモが入り混じった群れの方が、生存にはより適していることが明らかになっています。
従って、社会生活を営む上ではどちらか一方の性格だけからなる群れよりも、両方の性格が入り混じった社会こそが、社会的生活を営む動物全般に共通した基本的原理ではないかと考えられるとの事です。
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