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何故、石油が下落したのか

2016年02月07日 03:02

石油価格サウジアラビアが握っている。

最近、サウジアラビア王家の内紛がひどくなっている。

内紛の中心は、モハメド・ナイーフ皇太子と、モハメド・サルマン副皇太子という、王家の若手世代の筆頭である

2人の「モハメド」の権力闘争で、どちらが次の国王になるかをめぐる戦いでもある。

現在の継承権は、副皇太子の方が低位だが、副皇太子サルマン・アブドルアジ現国王の息子だ。

国王は、暗殺など何らかの方法でナイーフ皇太子を外し、自分の息子皇太子に格上げして、王位継承させ

ようとしていると指摘されている。

米当局筋によると、皇太子の交代は、今夏に行われそうだという。

ナイーフ皇太子が対米従属派で、サルマン副皇太子(と父親のサルマン国王)は対米自立派であり、米国の

覇権が低下するなか、サウジがどこまで米国の支配につき合い続けるかという国家戦略をめぐる戦いだ。

ナイーフが次期国王になると、日本と同様、衰退する米国にどこまでも付き従っていく可能性が高い。

対照的に、若いサルマンが王位を継ぐとサウジは対米自立していき、多極型の世界体制のもとで、中露や

イランと並ぶ地域大国として振る舞う傾向を強めるだろう。

 国王が、息子の副皇太子にアラムコを握らせたことは、対米関係上、大きな意味がある。

サウジは14年秋から、原油の国際相場を下落させる政策を続けている。

これは、米国のシェール石油産業をつぶし、世界の石油業界でのサウジの支配力を守るための策略だ。

巨額の債券発行で自転車操業しているシェール石油産業の崩壊は、米国のジャンク市場債券金融

システムの崩壊につながる。

そのため、米国の石油産業と金融界は、あらゆる政治力を使ってサウジ王室に圧力をかけ、サウジ原油

安攻勢をやめさせようとした。

それに抵抗するためのサウジ国王の策が、息子の副皇太子に個人的にアラムコを握らせ、王室内の他の

勢力が米国の意を受けてアラムコに圧力をかけられないようにした。

サルマン親子(サルマン国王サルマン副皇太子)は、米国の圧力に抵抗しつつ、米国の覇権を倒そうとし

続けている。

 サルマン親子が権力を握り続ける限り、サウジは米国が金融崩壊を起こすまで原油安を続ける。

逆に、ナイーフが皇太子の座を守って国王になり、サルマン親子から権力を奪取したら、サウジは減産して

原油相場を再上昇させ、米国のシェール産業と金融システムを救うだろう。    
  
 サウジ王家の内紛は、今年の夏が山場で、誰が王位を継ぐかで、石油価格も決まると推察する。

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