- 名前
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ナフサの下落
2015年03月22日 17:33
ナフサは2014年取引相場でドルベースで一番の下落商品となりました。
ナフサの原料は原油で、この原油の価格下落(48.4%)が直接的に影響しています。
ナフサとは元来ギリシャ語やラテン語で原油を意味する言葉から来ていますが、今では石油精製品のひとつとして定義づけられています。
原油を加熱炉で350度まで熱し、蒸留装置によって沸点の低い方から、LPガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油などのさまざまな石油製品に生まれ変わるわけです。
さらにナフサは分解装置等で重さによって軽い方から、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの石油化学製品になっていきます。
ナフサの価格は基本的には原油価格に連動し、その都度都度の為替レートによって換算されます。
原油価格は需給によって形成されるとは言うものの、大きくは政治情勢に左右されると言っていいでしょう。
70年代半ばまで6000円/klだったナフサの価格は、第四次中東戦争を引き金に発生した第一次オイルショックによって76年には5倍の3万円/kl、そして79年のイラン革命によるイラン石油生産中断を受けた第二次オイルショックによって6万円/klとさらに倍にまで跳ね上がりました。
第二次オイルショックが収まった85年から2000年代前半までは15000~3万円/klで落ち着いていたナフサ価格は、BRICsなどの新興国の原油需要増加、産油国の生産能力低下などを背景にしつつも、投機資金や先物市場における思惑買いなどの余剰マネーの流入により08年85000円/klを超える価格に至りました(第三次オイルショック)。
2008年9月のリーマンショックで一気に1/3まで価格は落ち込み、その後のアメリカの景気回復にその足取りを合わせるように7万円まで価格を戻してきたのが2014年夏までの推移です。
以降のナフサ価格の下落は7月をピークに一挙に下げ続けた原油価格を反映した形ですが、大きな要因はアメリカのシェールオイルの台頭と言えるでしょう。
アメリカがエネルギー輸入国から輸出国へと変身すれば、世界のエネルギー需給に大きな変動要素となります。シェールオイルの製造コストは$70~95/バレルと言われていますが、将来の増産効果によりその半分にまで下がるというシンクタンクの調査もあります。
一方、サウジアラビアを盟主とするOPECは昨年末に減産をしないという方針を決定し、それを受けて市場では既に原油価格が$50/バレルを切っています。
産油国の採算コストは$40~60/バレルと言われたり、実際の生産コストは償却しきっている設備であれば$10/バレルとも言われています。
アメリカのシェールオイルは投資し始めたばかりですから、価格競争になったらOPECなどの産油国には敵いません。それを見越してのOPEC減産見送り判断でしょうか。
実際、シェールオイル企業のいくつかは既に破綻してしまいましたし、投資していた日本の大手商社も痛手を被るところも出てきました。
実はもうひとつの要素が「イスラム国」にあります。
ご承知のようにイスラム過激派組織がイラクとシリアの一部を実質支配している地域ですが、そこの油井設備を占領下に置き、$40/バレルで市場に流し、戦費を稼ぎ出しているという情報があります。まだ原油価格が下落しそうな兆候が見えるのはそういった背景もありそうです。
イスラム国にしてみればタダで手に入れたようなものですから、反イスラム勢力が困ることであれば、手段を選ばず安い原油を市場に流すことはいともたやすいことでしょう。
さて、原油が安くなりどの業界が恩恵を被るか考えてみました。
ナフサが安くなると原料費が安くなり、売りやすくなる業界が良さそうですね。
このデジログへのコメント
直感的に洗剤と衣類が浮かびました(;^_^A。ガソリンが安くなるのはありがたいですけどね。
米国のロシアやイラン潰しと、シェ-ル潰しのサウジの思惑もあるでしょう。
からくりは複雑怪奇
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