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Netの印象的な話:あの時の親父
2012年08月25日 22:15
俺の親父は怖かった。
勿論最近よくある理不尽な暴力ではないが、俺は何かをやらかすたびに鉄拳制裁を食らっていた。
小柄だががっしりした体型のオヤジの鉄拳は、いつもいつも痛かった。
不肖のバカ息子である俺が身を固めたのは30半ばになろうとした頃だった。
引退しすっかり好々爺になってしまった親父だったが、結婚式の挨拶は堂々としたもので、まだまだ親父は健在だと安心したものだった。
それから1年程して、親父が入院することとなった。
小柄だが頑強だった親父にとっては初めての大病と入院だった。
原因は不明だったが腎臓機能の一部を失うだけで済み、手術なしの薬物治療で大丈夫とのことだった。
その時点で少し親父が縮んで見えた。
そして更に1年後。今度は腫瘍が見つかった。
幸い悪性ではなかったが、切除された患部を見てICUでチューブだらけの親父を見た時更に親父が縮んで見えた。
親父は生還と引き換えにカミナリ親父の威厳を失った。
すっかり弱気になってしまい、何をしても疲れるからと中座をするし、60過ぎでもなお若々しかった風貌は一挙に衰えてしまった。
先日の父の日に実家を訪れた時、親父は俺の飼い猫のことばかりしきりに気にしていた。
まるで孫のことでも嬉々として話しているかのような、そんな口調だった。
「!!」
大病をしたことがなかった親父が最初の病気以来どういう気持ちでいたのか、その時痛い程よくわかった。
晩婚で心配をかけた挙句に、いつまでたっても子供も作らないで新婚気分でいる俺達。
あの気の短かった親父は孫が欲しいとか何も言わずに、そんな浮かれた夫婦の姿を温かく見守ってくれていた。
大病を重ね恐らく死すら覚悟したであろう親父は、どれ程に孫の顔を見たかったことだろうと。
そんな今の弱々しい親父の姿と過去の親父の姿。
テーブルに置かれたありきたりの父の日のプレゼント。
相変わらず親不孝な俺。
それらがない混ぜになってグルグルと心の中で渦を巻き、そのやるせなさ・悲しさがこみ上げて嗚咽をもらしそうになった。
なぁ親父。来年の今頃は孫を抱っこできるように努力するよ。
だから長生きしてくれ。
あの時の親はこんな気持ちだったのかな?って思うことありますか?一生親には勝てないのかもしれませんね。
[親父が正しかったかなと悟る頃の男には、親父は間違っていると考える息子がいるものだ]
by作者不詳
このデジログへのコメント
-Q-さん:そうだね。何かを改めて考えてみたりするのもいいかも
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