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眠る前に

2009年05月06日 08:35

眠る前に、布団で本を読む方々は多いと思う。だが、もう何年も1ページも読まないうちに眠りに落ちてしまう。小説エッセーなどでは毎晩同じ箇所を読むことになる。

これを続けるわけにはいかないので、こうした・・・。
俳句短歌なら、一句ずつ一首ずつなら・・・、である。


それで、最近読み終えたのが、『花神コレクション〔俳句有馬朗人』。
因みに、有馬朗人は、東大総長から、参議院議員そして文部大臣の経歴がある。
その経歴とは関係なく佳句が沢山ある。そのなかで、もっとも惹かれたのが次の一句、
街あれば高き塔あり鳥渡る
第二句集「知命」(昭和57年 牧羊社)に収められたもの。
フランスルーアンの前書きがある。
この句のように、有馬朗人には、海外詠が多い。多分、それは有馬朗人氏が学者であり、海外の大学で学ぶ機会が多かったからだろう。俳句を通じて海外の風景を読むことで、有馬氏の日本に対する思いを繋げているのだろうか?

この、「街あれば高き塔あり鳥渡る」にその望郷の念が感じられる。手前勝手な解釈をすれば、この鳥とは、まさに有馬氏であろう。遥かなる、故国への思いがひしひしと伝わってくる。時に有馬氏五十二歳である。

今も、眠る前には俳句を読んでいる。

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