短編小説・・・８

更なる目撃者を探すよう指示されて操作会議は終了した。
未だ自殺、他殺両面で捜査は行われる。
初七日も過ぎた頃、ガイシャの奥さんを訪ねた。
線香を上げ、早速話をする。相変わらず無表情な顔だな、と俺は感じた。
奥さんのほうから先に「状況はどうなってますの？」と尋ねられた。
「自殺の線も考えられてきました。そこで奥様にお話を伺いたいのですが・・」
「自殺ですか・・そうするとこれも一つの要因になるかもしれませんね。」そういって徐に立ち上がってある書類を持ってきた。
クレジット会社からの請求書である。金額は１００万を超えていた。しかも同じところから２万、３万と毎日のように落ちている。奥さんに尋ねた。
「これは何の請求かわかりますか？」
「私のほうが聞きたいですわ。あの人、私には何も話してくれませんでしたから。」
よく見ると右端のほうにドルの金額がある。調べてみる必要があるだろう。
奥さんの了解を得て、請求書を持ち帰った。
早速カード会社に問い合わせてみると「個人情報ですから。」ということでなかなか教えてくれない。
拉致があかないので、直接カード会社を訪ねて捜査協力依頼を求めてた。
そしてようやく内容がつかめた。仲介のクレジット会社が入っての精算の様で、内容はライブチャットというものを利用した金額だそうだ。
「ライブチャット？」俺には未知の世界だ。
とりあえず署に戻って報告を済ませると一旦家に帰った。
家には長女の由紀子がいた。由紀子に「ライブチャットって知ってるか？」と聞いてみたところ
「お父さん、そんなものにはまってるの？」と聞かれた。
そして彼女自身が知っている範囲で教えてもらった。実際にパソコンでサイトを開きながら。どうして娘が知っているのか心配であったが、先輩がチャットレディというものをしているそうで、誘われたことがあったらしい。
画面に映し出された女性と話をする、話をするために男性はお金をはらう。話している間は二人きり。仮想恋愛も可能な、そんなサイトらしい。１分間に１００円～かかる。
確かに気軽に話せそうな感じはする。こちらから相手は見えるが、相手からは見えない。スナックやクラブだとこちらが見えてしまうので、変な話値踏みもされてしまう。その点では気軽なんだろう・・